コーチングするならロジカルシンキングを学べ
投稿日:2018-10-08
コーチングのスキルを身に付けたいと思う方は、それ以前にロジカルシンキングを学ばないといけません。
相手が本当に望んでいることは何か、自分で考えて整理してあげる必要があるからです。
実際に実行するために大切な、SMART(具体的に、測定可能な、目的に則した、達成可能で、期限がある)をロジカルシンキングを使って決めていきます。
SMARTとは
SMARTは、目標を明確に表現するために不可欠な「5つの要素」の頭文字です。
Specific(具体的に):誰が読んでもわかる、明確で具体的な表現や言葉で書き表す
Measurable(測定可能な):目標の達成度合いが本人にもコーチにも判断できるよう、その内容を定量化して表す
Achievable(達成可能な):希望や願望ではなく、その目標が達成可能な現実的内容かどうかを確認する
Related(目的に則した):設定した目標が自分の目的に則しているかどうかを確認する
Time-bound(時間制約がある):いつまでに目標を達成するか、その期限を設定する
目標を設定するとき、この5つの要素を満たしているかを確認しなければなりません。
それだけで、目標の達成率が大幅に増加します。
具体化することで何をすればいいかがわかり、測定することで課題を発見し解決できるようにし、達成可能な目標にすることで達成までのビジョンを描くことができ、期限を設定することで計画が生まれ、目的に則した行動をすることでモチベーションの向上が望めます。
この5つの要素を含んだ目標を設定するのは、最初は難しいかもしれません。しかし、コーチと一緒に納得感が得られるまで考えていくことが大切なのです。
ロジカルシンキングとは
では、なぜSMARTな目標設定が難しいのでしょうか?それは、物事を細分化・構造化し、解決策を考える能力、ロジカルシンキングが必要になるためです。
ロジカルシンキングとは、「相手に自分の考えを理解してもらう技術」です。物事を整理・分析し、複雑な因果関係を明確にしたり、問題の解決策を導き出して伝える技術です。
この場合、理解してもらう相手は、自分自身になります。
決めた目標をどうやって達成するか、ビジョンが描けるようにならなければなりません。
このとき、誰かからどんな質問をされたとしても明確に応えられるレベルで考えなければいけません。
しかし、普段から想像力を鍛えていないと、この作業は簡単にできるものではないのです。
そこで、ロジカルシンキングという技術を使って、目標達成までのビジョンを描けるようにしていきます。
では、ロジカルシンキングとは実際どのようにすれば良いのでしょうか?
ポイントとなる技術は次の2つです。
- MECE:漏れ無く、ダブリなく、ズレなく考えること
- ロジックツリー:問題をツリー状に分解して考えること
ここでは簡単に、MECEとロジックツリーのやり方についてご紹介します。
より詳しく知りたいという方は、「ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル」照屋華子(著),岡田恵子(著)を参考にするといいでしょう。
◯MECEのやり方
例えば、じゃんけんの出す手をMECEで考えてみましょう。それぞれ、「グー」「チョキ」「パー」で、漏れもダブりもありませんよね。これがMECEに分類するということです。
次に、会社の従業員をMECEに分類してみましょう。
どのように分類されるか考えてみてください。
※回答例は、この節の最後に
さて、どのような答えになったでしょうか?
社長、幹部社員、平社員など、役職別に分類した人もいれば、年代別に分類した人もいるのではないでしょうか。
ここで大切なのは、どのような切り口で分類するかということです。
MECEで分類する前には、どのような切り口で分類すれば求めている整理した情報が出てくるのかを必ず考える必要があるのです。
誰に何を伝えたいかで、どのような切り口なら伝わるかを考えるようにしましょう。
また、やってみて気づいたかもしれませんが、本当に漏れがないのかって疑問に感じたかもしれません。実は完璧なMECEというのは存在しないのです。じゃんけんの例で言っても、地域によっては、グー、チョキ、パー以外の手段があるかもしれませんよね。
大切なのは、相手が理解できるように分類されているか。最低でも、自分が納得できてわかりやすい分類にできていれば問題ないと思います。
◯ロジックツリーの作り方
ロジックツリーとは、問題をツリー状に分解し、論理的に原因や解決策を導き出す手法のことです。問題の全体を把握でき、一つの問題に対して、多くの視点から解決策を探ることができるようになります。
ロジックツリーには、基本的に用途によって3種類に分けられます。
原因を追求するWhyツリー、解決策を出すHowツリー、要素を分解するWhatツリーです。
Whyツリーは、問題の原因を追求するのに優れた手法です。例えば、顧客からクレームが来たとしましょう。なぜクレームが来たかをツリー状に分解して本質的な原因を追求していきます。
Howツリーは、解決策を導き出すのに優れた手法です。集客を増やしたいという課題があったときに、どうやったら増やせるかをツリー状に構築して解決策を求めます。
Whatツリーは、要素を分解するときに優れた手法です。コーチングでは、このWhatツリーを使うことが多くなることになると思います。収入を増やしたいという課題があったら、収入とはどのような収入か、いくらあればいいのかなど、要素を分解することができます。
MECEとロジックツリーの2つの技術を使って、目標をビジョン化していきましょう。
MECEの回答例)
ロジカルシンキングを使って目標をSMARTにする
では、実際に私の例を使って考えてみましょう。前章で挙げた目標のうち、「アイディアを人にぶつけて批判をもらって思考を深める」に着目して、より具体的な目標に変えていきます。
今回は、具体化するために、Whatツリーを使って考えていきます。
まず、細分化すると「どのようなアイディアか」、「いつ、誰に、どのような批判をもらうか」、「思考が深まったとする判断軸は何か」に分類されます。さらにそれを深掘っていくと図のように細分化できます。
ロジックツリーを使って、対象を細分化できたら次に文章にしていきます。今回の場合であれば、次のような文章を作成します。
「コーチング技術やプロモーション、経営戦略についてアイディアを出したら、打ち合わせを行います。打ち合わせは、毎週コーチやプロモーション担当と行います。打ち合わせの内容は、アイディアの問題点、別の視点からの新しいアイディアを出すことです。どんな意見であっても、新しいアイディアを受け入れ、またアイディアを自分と相手が明確にイメージできるまで話し合います。最後に、そのアイディアを実行するための行動計画を立てます。」
ここまで具体化すれば、実際に行動に移せるのではないでしょうか?
文章化をしたときに、きちんとSMARTになっているかどうか確認することも忘れないようにしましょう!
今回の例では、内容が具体的で、毎週という期限が決まっており、新しいアイディアを出すこととイメージの明確化という指標があり、目的に則しており、達成可能でもあります。
このようにロジカルシンキングを使えば、比較的簡単にSMARTな目標を設定することができるのです。
これを何千回と繰り返せば、瞬時に物事を整理でき、文章化することも可能です。
コーチとしては、会話の中で整理していかなければならないので、ロジカルシンキングは必要なスキルと言えるでしょう。
もし、苦手だということなら、クライアントと一緒にロジックツリーを作って一緒に考えていくのもいいかもしれません。